葵の章

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「これも、そちらの時代の下着ですか?」 いよいよ私の両脚が御開帳となると同時に、 春日局様は少し面倒そうな口調で言う。 そういえば、この時代の下着ってまだ褌(ふんどし)? それとも何も履いてないとか… 「そうです、女性用の…… ……きゃあっ!!」 なんと彼は顔を私の股の間に埋めてきた。 面倒なら普通に手で触って調べればいいのに、 どれだけ律儀なの。 「何か隠している様子は… 無さそうですね。」 「ないです、何もないですっ!!」 鼻をそこへ押し付けて、 まさぐるように確認されると どうしたって逃げたくなる。 「…しかし何故、 貴女の身体は何処も良い香りがするのでしょう?」 匂いの元を探してるのだろうか。 たぶん体を洗うときに使うものと、 香り付きの柔軟剤で洗われた洋服のせいだと思うけど… 考えてみれば食文化だって 今と江戸時代とは大違いなんだし、 体臭も違って当たり前か。 けれど私を良い匂いだと言うのなら、 彼からだって。 百合の花のような、 爽やかな甘い香りがしてる。 着物に焚き付けられたお香なのか、 彼の肌の匂いなのか、 不思議と私はその香りを鼻に感じるたびに気分が落ち着いた。
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