葵の章

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気付けば周りがお墓だらけの中に、 自分が立っていたから。 大小さまざまな形のお墓の中で、 ひときわ目をひく、とっても奇妙な形の墓石があった。 「……これも、お墓…?」 思わず声に出して呟いてしまう。 古ぼけた木の柵に囲まれた、 まあるい蚕の繭のような形のその墓石は、 なんと四方に穴が空いていた。 じっと眺めていると、 その穴の中の闇に吸い込まれてしまいそうで、 私は目を逸らした。 すると、手前にあった看板のようなものが視界に入ってくる。
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