第6話 初恋

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「あっ、幼稚園だ!懐かしい……」 「少し綺麗になっているけど、あまり変わっていないな」 小さめの遊具や運動場、それらを取り巻く木々、二階建ての洋風のお家みたいな建物。 改修工事をされて綺麗にはなっているけれど、私たちが通っていた頃と何も変わっていない。 私たちは柵の向こうから懐かしい光景を眺めていた。 幼稚園を見て思い出されるのは、楽しかったことばかりではない。 むしろ私にとっては、唯一いじめられた経験のある場所。 そしてその相手がまさに隣にいるのだから、何ともいえない複雑な気持ちになる。 「あ、あの木さ、あんたが私の帽子を持って登った木じゃない?」 「……そうかも。確か木に登れない君は僕を見上げて泣いていて……」
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