第6話 初恋

8/16
前へ
/16ページ
次へ
でも、どうして今私の手を握ったのか、私の頭では全く理解が出来なかった。 駿河はそれを察したかのように、その答えを語り始める。 「……君は自分のことをガサツだって言うけれど、子供の時から何も変わっていないと思う。純粋で、こうやって手を握るだけで顔を真っ赤にさせているでしょ」 「そ、それは、不意に握られたからで……。って、どうして私の手を握ってんの?」 「……さっきも言ったように。僕が人生で好きになったのは、君だけって」 ――僕が好きになったのは君だけ ――好きな人の手を握ることが出来ればそれでいい。 彼は確かにそう言った。 そして、今、彼の手は私の手を優しく包み込んでいる。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加