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「うおっ! ビビった!」
「……」
「どーもー♪ 面接に来たんすよね?」
「……」
「もしもぉし」
「! あ、はい! 瀬戸と申します!」
一瞬真っ白になってしまった。
乱雑に散らかってはいるけれど、事務所? なんだろうかに高校生がひとりしかいない。
しかもグルグル回りすぎて、俺を見つけて驚いて止まったはいいけど、若干目を回している。
その茶髪高校生はにっこりと爽やかに微笑んでから、とても軽いノリで挨拶をしている。
「社長ならすぐに戻りますよ~」
「あ、はい」
「あ! つかお茶とかっすよね」
「あ、いえ、お構いなく。面接ですし」
その一言に不思議そうにしながら、そうなんすか? なんて俺に訊かれても……。
とりあえずその高校生に促されて、事務所の一角につい立てで覆われた、たぶん応接間のような場所へと座らされた。
そしてその高校生も向かい合うように座っている。
間……持たないんですけど。
この子ってアルバイトなんだろうか。
留守番? なのかな。
デスクは合わせて五つあるけれど、どこにも山のようにファイルやら書類らしきものが積まれている。
その中でも一際目立っているデスクがあり、そこにはフィギアがぎっしり並べられていた。
掃除はあまりされていないような机ばかりなのに、そこだけは埃ひとつなさそうだ。
あとお菓子が置かれている机はこの高校生がグルグル回っていたから彼のなんだろう。
「遅いっすねぇ」
「はぁ」
時間は間違えていないはずなんだけど……。
「あ……もしかして電話した時の方は」
きっとこの高校生だ。この軽いノリが似ているし、声も同じ感じがする。
「ああ! そうだ、俺が電話に出ましたよね! そうだそうだ! あの時ちょうどトモとメールで別れ話してたから覚えてます」
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