第83章 大丈夫

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とにかく病院で看てもらうのが一番早い。 市販の薬よりも処方してもらったもののほうが効きが早いし、なんなら点滴を打ってもらうことも出来る。 一度振り返って、雄大の言葉を理解した佳苗ちゃんが大丈夫、留守番なら出来ると笑っていた。そしてその笑顔を確認してようやく彼女は大きく息を吐き出した。 疲れと風邪による高熱だった。 彼女は体調の悪い中一日頑張っていたんだろう。 点滴をしてもらうことになって、横になった瞬間にゆっくりと目を閉じた。 「どう? 佳苗ちゃんは」 『大丈夫、穂果ちゃんと一緒に遊んでる。夕飯ももう済ませたから』 「ありがとう。こっちは今点滴打ってるから、数時間したら戻ります。それじゃあ、またあとで」 『譲! 世話掛けてごめん、とか言わないでくれてありがとう』 それだけ言うと電話は切れた。 変なありがとうだけれど、うん、確かに以前だったら、そう言って謝っていたかもしれない。 でも今の俺が雄大の立場なら謝ってなんて欲しくない。 ありがとうの一言のほうがいい。 迷惑だなんてほんのこれっぽっちも思っていないし、雄大の役に立てるなら全然嬉しいんだ。 それにさっき保育園を出て、雄大の名前を呼んだ瞬間に全部を理解してくれるように、サポートしてくれたのが嬉しかった。 穂果もそうだけれど、一瞬でわかってもらえてすごく安心したんだ。 病室に戻ると佳苗ちゃんのお母さんは目を覚ましていた。 ほんの少しでも横になれたのがよかったのか、それとも点滴が効いたのか、さっきよりも目がしっかりしている。 「瀬戸さん……すみませんでした。ご迷惑を」 声も大分しっかりしてきた。 「気にしないでください。よかったです。ただの風邪と疲れで」 「……」 「点滴で良くなったからって無理はダメですよ。薬で無理やり快復させているだけなので、しっかり休んで体力をちゃんと付けないと。こちらこそ差し出がましいことを」 余計なお世話かもしれない。 小さな親切大きなお世話かもしれない。 でもついやってしまった。 昔の俺ならしない、でも今の俺は手伝いたいと思う。
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