3276人が本棚に入れています
本棚に追加
/567ページ
「離婚してひとりでって気負ってたんでしょうか……毎日必死で、あっという間に一日が終わっちゃって。佳苗にも寂しい思いをさせてるのかなって」
「でも考える時間もないんですよね」
「え?」
「一緒ですから。大丈夫」
そうなんだ。
昔の営業マンをしていた時の自分に似ている。
毎日駆け回って、寝るのだってなんだか焦っていて、息を深くつく時間すらない。
そんな頃の自分に似ていた。
「ゆっくり、ほんの少しの時間くらい寝てください」
「……」
「大丈夫、佳苗ちゃんなら穂果と一緒に夕飯も食べ終わってますから」
佳苗ちゃんのことがわかると安心したのか、ゆっくりと瞼を閉じて、ほんのしばらくするとまた穏やかな寝息が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!