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『え?…もう1回、言ってくれる』
『ですから、あなたには今から戦国時代に旅立ってもらい、僕のご先祖様を助けてきてほしいんです。このままだと2人は決して結ばれることがなく、僕はこの世に生まれてこないことになってしまうんです』
『可哀想に。僕ちゃんは幾つなの?』
『今年で12歳になります』
『お家はどうなの?お父さんとお母さんは喧嘩してない?』
『何をまた、わけのわからないことを』
『わからないのはお前の方だよ!勝手に俺ん家に上がり込んで何を言ってるんだ!』
すると少年は手帳を取り出し、
『え~と、井浦修平。職業は決して売れないお笑い芸人。その名を紀洋軒春巻。と言うことで、よろしいですね』
『よろしかねぇ~よ!』
『違うんですか?』
『いや、合ってるけど…』
『どうかご先祖様を助けて下さい』
『だからそれが大雑把だと言ってるんだ。するとなにか、ドラえもんのように、机の引き出しにでも入れってか?』
『それは漫画の話でしょう。僕が話しているのは今より1500年先の未来の科学です』
『未来の科学?』
『これです』
少年が高々と見せてくれたのは、ドアノブが2つにくっついた、
『なんだその不思議な道具は?』
『どこでもノブです』
『やっぱりドラえもんじゃないか!』
『これが西暦3500年代の最新鋭モデルのタイムマシンです。これで一刻も早く戦国時代に旅立って下さい。私の先祖は今、空に向かって悲しい涙を流しているのです』
『いや、だからね』
『行き先は1561年。永録四年の群雄が割拠する戦国時代です。よろしいですね』
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