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「鈴! 」
「鈴ちゃん!
今日は学校行かない日?
行かないのならお墓参り行ってきなさい」
階下から聞こえる母の声に目を覚ました女の子は、枕元にある目覚まし時計を見て飛び起きる。
「ヤバイ! 」
時計の針は10時近くを指していた。
慌ててパジャマ代わりのTシャツを脱ぎ捨て制服に着替えると、歯を磨くのと洗顔を同時に行い台所に行く。
「あんた学校なの?」
母親の問いかけを無視しショルダーバックを肩にかけた女の子は、お婆ちゃん特製の大きな牡丹餅を口に押し込み、ミネラルウォーターのペットボトルをひっつかみ、家を飛び出す。
「むっう…………うむむ」
(行ってきます)
家から飛び出した女の子は、玄関脇にある自転車を一瞥したが乗らず、学校の方へ続く家の前の細い山道を駆け上がって行く。
20分程で学校の裏に着いた女の子は周りを見渡してから、2メートル近い塀に飛びつき跨ぎ越える。
塀を乗り越えた女の子は校舎に近づくと、鍵が壊れている窓を開け中に入り、教室まで全速力で走った。
教室の後ろの戸の前で息を整えてから開ける。
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