地の文

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陰の声は言った。 「辞書で、なに調べてるの?」 女の子は言った。 「実はね、エブリスタの超妄想コンテスト   夏休みスペシャルに投稿しようと思っているんだけど」 陰の声は言った 「どういうストーリーにするのか決まったの?」 女の子は答えた。 「その前にわからない文章があってね、それで調べてるの」 陰の声は、女の子が話し出すのを待った。 「応募内容にね、規定の文字数内であれば、  【地】の文   を書いていただいても構いません、     ってあるんだけど、地の文ってなんだと思う?」 陰の声は静かに言った。 「まさか、小説などを扱っているサイトで         誤字脱字とかは考えられないよね。               わたしも調べてみよう」 文章や語り物などで、会話以外の説明や叙述の部分をいう。 「ふーん、なんで地の文なんだろうね?」 「うーん」 「それに、地(じ)の文らしいね」 「うーん 語源は何なんだろう」 万物の存在の基盤としての大地。 転じて〈地色〉〈地の文〉のように本来のもの 基本的なものを指す語ともなる 「意味、わかんないね」 「うそくさいな…」 「妄想好きな国語学者が考えたんじゃない」 「そうかもしれんな」 こうして悩んでいるうちに、応募は締め切られた。
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