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「あははっ! マル、幸せそう」
カンナが笑う。
あれ、久々にこんな笑顔見たな……
「ワンっ」
そこで目が覚めた。
何かがおかしいと、気が付かなかった。
普通に存在していた。何の違和感もなく。
……もう君はいないのに。
それは春の出来事だった。
カンナとか仲のいい奴とか、とにかく知り合いの多いクラスになって浮かれていた。
春だったし、桜も綺麗で。
そんなある日、カンナが学校に来なくなった。
最初は先生も風邪だって言ってたけど、一週間も来なかったらおかしいと思わない人はいない。
幼なじみとして、気になって家に行った。
呼び鈴を鳴らして、出てきたのはカンナのお母さんだった。
「ソウタくん。わざわざ来てくれたのね。上がって」
目が赤かった。一瞬で泣いていたんだ、と分かった。
「カンナ、ソウタくんが来てくれたわよ」
カンナの部屋のドアを開ける。そこには誰も居なかった。
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