君が、いた。

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「カンナ、いつまでふさぎ込んでるの。ソウタくんが来てくれたわよ」  誰も居ないと思ったが、ベッドの布団が膨らんでいた。  それをお母さんは剥ぐ。 「…………」  そこには目を腫らし、憔悴しきったカンナがいた。 「ソウタ……」  それからカンナは風邪を引いたわけではないということがわかった。 「マルが……死んだの」  生まれた時からずっと隣にいたマルが、病気で死んだ。  カンナはあまりのショックで、一週間塞ぎ込んでいたのだ。 「そっか……」  俺はなんて声をかけてあげたらいいか分からず、泣きじゃくるカンナの隣に居てやることしかできなかった。  それからカンナは少しずつ回復して、学校に来るようになった。  友達とも話すし、俺とも冗談を言える。  でもやっぱりそこには、本気の笑顔はなかった。
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