第1章 出逢い

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3時間近くが経ち、職場への言い訳と資料の請求場所などを考え始めた時、視界の右端の方から走ってくる人影が見えた。 その人はスタイルの良さのせいなのか先程の男性だとすぐに分かり、手には私の持つ封筒と同じ物が握られている。 私の元まで来ると、膝に手をついて大きく肩を揺らして息を吐いている。 「は、はぁ……あの、す、みません……」 私が声をかけようとすると、それよりも先に男性は息も絶え絶えに謝った。 「大丈夫ですか? ゆっくりでいいですよ」 男性は身体を起こし、今度は胸に手を当て息を整えながらこちらを向いた。 「すみません。さっきぶつかった方ですよね?」 「はい。あの、これ」 私が封筒を差し出すと、男性も持っていた封筒をこちらに差し出した。マスクをしているから目くらいしか見えないが、その大きな目はすごく綺麗だとわかる。
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