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怒りで胸が潰されるように痛む。
いつの間にか強く握っていた掌に爪がくいこむ。その掌の痛みで、少しずつ大事なことが頭に浮かんできた。
……桜香ちゃん。
これって、桜香ちゃんも見ちゃうんじゃないのか?
てことは、誤解させてしまうのかもしれない。
そう思った瞬間、マネージャーに掴みかかるように手を伸ばしていた。
「携帯! 俺の携帯は?!」
「鞄の中ですけど、落ち着いてください! とにかくホテルへ行きましょう」
そう言うとマネージャーは、今度は強制的に腕を引っ張って歩き始めた。
引っ張られるように歩き始めた時、さっきまで見ていたキレイな桜に目がいった。
そのキレイなピンクが目の前で黒く染まっていくような、絶望に似た感覚に苛まれた。
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