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「すみません。これあなたのですよね?」
私は突然現れたその男性に緊張し、慌てて前髪を整えてから出された封筒を受け取った。
「あ、ありがとうございます」
あ、どもった上に声がうわずっちゃったよ、恥ずかしい。
「いえ。すみません、急いでいたもので。痛かったですよね」
「大丈夫です。大したことありません」
おしりが痛いなんて恥ずかしくて言えないよ。
「それならよかった。では、失礼します」
その男性は肩に大きめの黒い革製のトートバッグをかけ、また急ぎ足で去っていった。
おしゃれな服装に良く似合っていたな、などとその後ろ姿を見つめながらぼんやり思う。
「はぁ、びっくりした。いたた、やっぱりおしり痛いかな」
私はおしりの痛さと寒さが相まって、急いで帰るのをやめ、近くにあるカフェで休憩することにした。
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