第1章 出逢い

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「すみません。これあなたのですよね?」 私は突然現れたその男性に緊張し、慌てて前髪を整えてから出された封筒を受け取った。 「あ、ありがとうございます」 あ、どもった上に声がうわずっちゃったよ、恥ずかしい。 「いえ。すみません、急いでいたもので。痛かったですよね」 「大丈夫です。大したことありません」 おしりが痛いなんて恥ずかしくて言えないよ。 「それならよかった。では、失礼します」 その男性は肩に大きめの黒い革製のトートバッグをかけ、また急ぎ足で去っていった。 おしゃれな服装に良く似合っていたな、などとその後ろ姿を見つめながらぼんやり思う。 「はぁ、びっくりした。いたた、やっぱりおしり痛いかな」 私はおしりの痛さと寒さが相まって、急いで帰るのをやめ、近くにあるカフェで休憩することにした。
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