第1章 出逢い

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暖かい店内。ゆったりとした音楽が流れる。 私は温かいコーヒーを飲みながら、ふうっと息を吐いた。 キャップにメガネにマスクなんて、変装してるみたいだったな。 そんなことを思いながら、頭を仕事に切り替える。 「そうだ。あの部分は先に入れた方がわかりやすいかも」 私は資料を出そうと封筒の中身を見てびっくりした。中身は資料じゃなくて、楽譜が入っていたのだ。 「え? なに、これ……手書き?」 すぐにさっきの男性を思い出し、慌てて楽譜を封筒に戻し会計を済ませて店を出る。 あの時、封筒が入れ替わったのかもしれない。 私はぶつかった場所に資料が落ちている可能性に賭け、そこまで走った。 冷たい空気が喉を通る度に痛い刺激を感じる。
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