第1章

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変なやつ。 第一印象はそんなだった気がする。 そいつはメガネをかけていて、いっつも本を読んでいた。 これといって友達もいそうにない。 大学生にもなると、そんなやつ大学内に何人も、何十人もいるから誰も気に止めないんだろう。 こいつは学校生活楽しいのだろうか。 俺はフットサルのサークルに入っているからそれなりに楽しい大学生活を送っているつもりだ。 そんなことを勝手に思いながら、授業の暇つぶし程度にそいつのことをちらりと横目で見ていた。 そいつとは学部が同じで確か去年のゼミも同じだったけっな。 話したことは一度もない。 ただ、本当にこの授業が暇であったためしばしばチラ見していたんだ。 それにしてもこいつ、ずっと真顔だな。 もちろん、これといって面白い授業ではない。 ほとんどのやつが真顔なんだろうけど、こいつの真顔はうまく言えないけどなにかおかしい。 能面のように本当に表情がない。 もしかしてあいつは幽霊なのか? って疑いたくなるように、そいつの瞳にはなにも映っていないような気がした。 そいつとは、中島のことだ。
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