第1章

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中島を見かけた日から、ちょくちょくバイト先の近くで中島を見るようになってた。 なにしてるのかはわからないけど、毎回違う男の人と一緒に歩いていて少し不思議に思っていた。 そしてある日、たまたま俺は見てしまったんだ。 「いやー、裕翔くん。本当に良かったよ!よかったらまた今度もお願いしたいな。」 「あはは、わかりました。」 「はいこれ、今日の分。ありがとねー。」 「ありがとうございます」 そんな会話をしながら、中島は男からお金を貰っていた。 なんの金だ? なにか良くない気がする。 中島は貰った金を財布にしまい、ちょうど俺の方に歩いてきた。 「中島?」 思わず呼び止めてしまった。 その時の中島は、また能面の顔をしていた。 「・・・、なんだよ」 「なにしてたの?」 「お前、見てたのか?」 見てた?なにを?さっきの金を受け取るとこか? 「いや、見てたっていうか そこのビルの前に男の人といるのを・・・」 いや待てよ。そこのビルって、ラブホじゃないか。 そんなとこで一体なにするっていうんだ? 「え?中島、もしかして・・・」 いやいやいや、あるわけないよな。 何考えてんだ俺は。 男の人といるのを見たじゃないか。 「援交だよ」 「え」 「さっきの男とセックスしてたんだよ」 「は、ちょっと待って・・・」 何言ってんだよ。 笑えない冗談だ。 中島は能面の表情のまま、話していた。 「俺、セックス大好きなんだよ。 口止め料として、お前も俺とシてみる?」 「は、何言ってんだよ!援交って・・・」 「ヤるのかヤラないのかどっちなんだよ」 「ヤ、ヤるわけないだろ! 俺はホモじゃねえ!」 「・・・・・・、俺もちげえよ。」 ホモじゃない? 本当になんなんだよこいつ。 もう俺意味わかんねえよ。 「あ!おい待てよ!」 ポカーンとその場に仁王立ちしてる俺をよそ目に中島は歩きだしていた。
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