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「気づいたら俺は家にいたよ。夢だとおもって、いつか忘れるんだと思った。でも俺は夏休み中、あの目の死んだクジラがどうしても忘れられなかった。まあそれでさ、夏休みが終わって学校に来てみたら教室にお前がいたんだ。俺は一目でお前があのクジラだとわかったよ」
六時限目のチャイムが鳴った。気付けばだいぶ時間ががたっていたのだ。いるか君は残念そうに僕を見つめた。
「お前がまたクジラになるなら、一緒に泳いでもいいか」
いるか君の目には、青くすんだ温かい海が揺れていた。
その日の夜、いるか君は死んだ。
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