閉じた扉が怖い

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教室の戸を開けると、そこには見慣れぬ風景があった……。 また。 突然だが、俺にとっての怖いものの話をしよう。 俺には怖いものなどない。いや、一つだけ存在する。 それは閉じた扉だ。 何故そんなものを恐れるようになったのかって? いいだろう、教えてやる。 あれは、高校受験の日だった。朝、“玄関を開けた"らそこは森の中だった。俺の家は普通の街中の住宅街に建っているのにだ。 気のせいかと思い玄関を閉めようとしたら、扉がない。 後ろを振り向くと、そこに家はなく森が広がっていた。熱帯林というのか、その森は蒸し暑く、冬服を着ていた俺はすぐに汗だくになった。 自分の状況を理解できずに呆然としていると奇妙な鳴き声のような音が聞こえてきた。近くの木を見上げると、その枝には体長2メートルもありそうな緑色の鳥が止まっていた。 その鳥は俺と目が合うと、その鋭いくちばしで襲ってきたんだ。 俺は鞄も上着も放り投げて逃げ出したさ。枝で顔や服を傷つけ、草や蔦に足を取られながら必死に走った。 でも、そんなんじゃ碌に走れやしない。転んで茂みの中に突っ込んじまったんだ。 もう終わりだと思ったね。走馬燈って本当に見えるんだな。 その時だった。 銃声のような音が聞こえたかと思うと、俺を追ってきた鳥が撃ち落されたんだ。 音のした方を見て見ると、猟師らしき人がいた。その人は俺に、なんでこんなところに碌な装備も持たずいるんだって聞いてきた。 ま、それはそうだわな。 俺はそん時混乱していたもんだから、馬鹿正直に気づいたらここにいて、訳が分からないうちに鳥に追い掛け回されたって答えた。 俺が鳥に追いかけられた恐怖から混乱しているとでも思ったんだろうな。その人は面倒くさそうな顔をしながら、近くの小屋に連れて行ってくれた。 それで、少し待っていろって言われたんだ。 暫くすると落ち着いたから、今の状況を整理しようと思ったんだ。でも、小屋ん中は机と椅子しかなかった。少しでも手がかりを得ようと、外の様子を見るためにそっと小屋の"扉を開けた"んだ。
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