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「ッ!!」
轟音とともに、暴風が教室に吹き込んだ。
あまりの風に目を開けることもままならない彼女は、腕をあげて顔をガードし、なんとか窓の外を見た。
窓の外、そこにゆっくりとそれは降りてきた。真っ白な機体を輝かせながら。
「ホワイト・ホース!!」
憧れの戦闘機の登場に、彼女は暴風の中、必死に窓際へ歩み寄る。
「しかも最新型のN207!!配備されたのはニュースで見たけど、今これに乗ってるの!?」
きらきらと目を輝かせる彼女に、彼はやれやれと肩をすくめた。
「言ったろ、白馬に乗った王子様が迎えに来たって」
…………しかし、王子様よりも白馬にときめかれるなんてな…………
彼は苦笑した。だが、その方が彼女らしいと思った。やはり変わってない。昔のままだ。
「やっぱり好きなんだろ?だったら行こう、宇宙に。限界ぎりぎりまで、もうダメだって思えるところまで頑張って、それからやめても遅くないだろ」
真っ直ぐこちらを見つめながらそう言う彼に、彼女はゆっくりとうなづいた。もう嘘はつけないと思った。自分にも、彼にも。やっぱり、どうしようもなく好きだから。
「わかった。私、宇宙に行く。もう一度頑張ってみる」
そう言った彼女は、晴れやかな笑みを浮かべていた。
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