第1話 魔法使い chapter 1

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朝食をすまして、 母と兄は、魔法の訓練のため 広場へと向かう。 少女は、手描きのチラシを手に 村を駆け回る。 昼になり、魔法の見世物が 始まる。 まずは、少女が 母から教わった通りに 手際よく、紙をきる。 その切り刻んだ紙を 帽子に入れてふると 中から、ウサギや鳩が飛び出してくる。 その可愛いらしい奇跡をみて 村人は、チップを箱に投げ入れる。 続いて、兄が 絵札を取り出して 父から教わった通りに 絵札をあやつり 村人の心をよむ。 2つの奇跡も、素晴らしいものだったが 村人達の期待の眼差しは、 母親に、向けられる。 母は、父には劣るが 様々な奇跡をおこしてきた。 そんな、母が新しい魔法を 村人にみせるというのだから 村人達は、興味津々に 彼女をみる。 母は、前日 街で仕入れていた 大きな箱を取りだし その中に、兄をいれて 箱の蓋を閉じ サーベルで、箱を串刺しにした。 村人も、少女も 一瞬、思考が止まり 数秒してから、箱を見た 箱には、穴がくりぬかれているため。 兄の顔は、ちょうど見えるように なっていた。 穴からみえる 兄の顔は、にっこり笑っていた。 母は、無数のサーベルを箱から 引っこ抜き 箱の蓋を開けた。 兄は、何事もなかったかのように 箱から出てきて 母と一緒に 会釈をした。 数えきれない拍手とチップが飛び交う。 少女も、舞台袖から 母をみつめる。 この時は、母も兄も少女も、、無論 村人も 知らなかった。 この物語が、少しずつ 歪みはじめていることに
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