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14歳の誕生日会の後、雪将くんに送られて帰宅した。
リビングへの顔出しもそこそこに部屋に引き上げて、
プレゼントの袋を慎重に開ける。
綺麗な空色の、厚手の表紙が顔を出した。
白いポスカで「SNOW MAJIC」と書いてある。
雪将くんが書いてくれた、オリジナルの物語ーー
そんなに長くはないみたい。
目次を見ると、章は二つ。短編のようだ。
恐る恐るページをめくってみる。
(雪将くんがいる……)
初めて知ることが沢山あった。
彼が教室に居場所がないと言った訳。
あの時トイレでなにを洗濯していたのか。
そして、私との出会い。
トイレ事件の彼の視点。
そして、勇気を振り絞った、キスと告白。
あっという間に読み終わって、天井を見上げた。
はぁ……こらえてもこらえても溜息が出る。
やっぱり彼は、私のことを覚えていなかった。
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