まだまだ子どもでいたいけど、大人がそれを許さない。

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サバイバルナイフは私の脇腹を垂直に刺し込もうとしていた。その先を二本指で捉えたが、カジュアルなスーツのポケットの上に浅い傷跡が出来たようだ。 そのまま手首を捻り、スーツの内ポケットからボールペンを取り出す。相手の急所へ狙いを定める間にワンノック。鋭いペン先が鈍く光る。 カラン、と足元でサバイバルナイフが跳ねた。彼の両手がゆっくりとあがる。 私のボールペンは彼の頸動脈のすぐそばで、停止した。 「おはようございます、先生」 彼は降参の体勢のまま無邪気に笑った。 「おはよう。今日から転校してきた生徒ね?」 ボールペンの芯にはインクは入っていない。ちょっと強力な麻酔薬が入っている。 彼がボールペンに視線を移すので懐に仕舞い、出席簿にメモを始める。もちろん普通のボールペンで。 「インパクト強すぎ。みんな近付けなくて隠れてるわよ。それと、目! そのままだと死んだ魚に裁判で負けるわよ?」 クドクド続くダメ出し。 ここは殺人鬼養成学校。 私はそこの教師です。 「なんで脇腹狙ったの?」 「んー、フイウチ?」 「無意味。一撃で仕留めなさい」 *End*
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