第1章 母、困る

2/5
前へ
/5ページ
次へ
人生には波があるとよく聞く。海のあれだとか、パチンコの履歴にあるデータグラフのそれだとか、とある海賊の航海士のあいつだとかそう言うのじゃなくて大きな幸福がある時もあれば最悪な不幸に見舞われる事もある。私はそれを言いたい。 でも、あえて今の状況をそれらて例えるなら、海のなみは50メートル級の大津波。パチンコのデータグラフのなみで言うなら初当たりなしで十万食われる程。航海士のなみで言うなら、十万食われたのは実は彼女だったり。 つまり色々な物にあえて例えてみても分かる通り、今の状況は恐ろしく最悪だという事だ。 子どもを授かり歳ももう40代半ば。それなりに人生経験をを積んできたハズだと思っていた。 昔はいろいろあった。小学生の時犬のフンで滑って4トントラックに跳ねられそうになったり、中学生の時検便が嫌で飼っていたウサギのフンを代わりに入れて行ったら先生にバレて殴られたり、花の高校生の時ずっと好きだった先輩に告白しようとしたら緊張しすぎてうんこ漏らしたり。 ・・・あれ?糞便の思い出しかない。 いや、そんな事はどうでもいい。重要なのは過去の数々の試練を達成してきた私でも、今が最も最悪だと思っているという事だ。 そう、私は今実の息子で長男のケンジに相談を持ち込まれている。 いきなりの出来事だった。それを言われた時は本当に驚いた。できるだけ平静を装ってはいたが普通に考えて面と向かって子どもに相談を持ちかけられるなんてそうそう、いや一度もなかった。あとの二人の長女と次女にも言われた事はない。女同士という事で些細な質疑応答なら何度も交わしたが彼の表情から察するに、下着の選び方と言うわけではない事は確かだ。 今は何とか落ち着いている。ただやっぱり頭の中がゴチャゴチャになってしまっている。整理するためにも十分くらい前からさかのぼって思い出してみよう。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加