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「こ、困ったなぁ‥‥店に戻らないと店長に叱られちゃうよ」
店員がはぁっと深いため息をつく。
「今更戻れないわよ‥‥戻ったところであんたが私とグルだって勘違いされてるんだから店長にも迷惑かけることになるわよ? 」
リディアが呆れたような顔をして現状を説明するが店員はまだ納得していないようだ。
「確かに僕は人間だけど世界保護協会じゃないし‥‥誤解を解かないと‥‥」
「無駄よ‥‥話がわかる連中じゃない。もっとお利口ならこんな苦労してないわ」
吐き捨てるように言うリディアに店員はもう一つ大きなため息をする。
もう後戻りはできない。
覚悟を決めてどうするか考えなければ‥‥。
世界創造協会に捕まってしまったらその後どうなるかくらい理解している。
店員‥‥いや少年は深呼吸をし、リディアを見つめる。
「決めた‥‥僕は君と一緒に行くよ。世界保護協会に入りたいわけじゃないけどなんかもう勘違いされてるし別に入会してもいいかなって‥‥君さえよければだけど」
少年がにこっと笑うとリディアもつられて笑う。
「私はリディアよ。リディア・トールズ。これからよろしく。あなたの名前は? 」
リディアが手を差し出す。
「僕はアラン、アラン・ウィルソン。リディア、これからよろしくね! 」
リディアの手を取り、握手する。
今、二人の運命の歯車が動き出した。
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