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その次の日である。
「ハーレイジ・コルニア。私は気付きました、人であろうと。そして青年であろうと。どうでしょうか、この黒髪、この白黒の服、本体を運ぶ鞄も腰にあります、しかも万年筆もありますよ!」
ハーレイジ・コルニア、彼女は言った。
「それでグリモワール、他のグリモワールをどうするか決めたのか?」
「ああいや……、実際魔術を組み換えたりしていて気付いたんですが、私って魔術構成力が下手ですよね」
「……そうだな」
「ですから、魔術を磨いてから来ます」
「好きにしろ」
「あの、逃げた事言わないでくださいよ」
「グリモワール、それは無理だ。私の存在意義だからな」
「『Grimoire Sacrista(グリモア サクリスタ)』ですか」
「そうだ、好きに逃げろ、後は追わん、報告はする」
「有り難う御座います」
「……グリモワール、わたしはなにもしていないぞ」
返事はなかった。
「おい、グリモワール」
歪曲した金髪を人差し指に絡め、溜め息を吐いた。振り返った先にはグリモワールの青年はもういなかった。
「やれやれ……」
ハーレイジ・コルニアはフードを摘まみ、深く被って安楽椅子をゆったり漕いだ。
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