第1章

12/14
前へ
/14ページ
次へ
その次の日である。 「ハーレイジ・コルニア。私は気付きました、人であろうと。そして青年であろうと。どうでしょうか、この黒髪、この白黒の服、本体を運ぶ鞄も腰にあります、しかも万年筆もありますよ!」 ハーレイジ・コルニア、彼女は言った。 「それでグリモワール、他のグリモワールをどうするか決めたのか?」 「ああいや……、実際魔術を組み換えたりしていて気付いたんですが、私って魔術構成力が下手ですよね」 「……そうだな」 「ですから、魔術を磨いてから来ます」 「好きにしろ」 「あの、逃げた事言わないでくださいよ」 「グリモワール、それは無理だ。私の存在意義だからな」 「『Grimoire Sacrista(グリモア サクリスタ)』ですか」 「そうだ、好きに逃げろ、後は追わん、報告はする」 「有り難う御座います」 「……グリモワール、わたしはなにもしていないぞ」 返事はなかった。 「おい、グリモワール」 歪曲した金髪を人差し指に絡め、溜め息を吐いた。振り返った先にはグリモワールの青年はもういなかった。 「やれやれ……」 ハーレイジ・コルニアはフードを摘まみ、深く被って安楽椅子をゆったり漕いだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加