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「あぁ。こういう負の気持ちを抱えた人間が大量に集まる場所には、悪い霊が引き寄せられるんだ。ほら、あれとかな」
そう言い、野田さんは列の中の一角を指差した。
並んでいる男性の頭上に真っ黒なモヤが立ち込めているのが見える。
「あれが悪霊ですか?」
「そうだ。悪霊は人にとりついて悪さをすることから、真っ黒なモヤの形をしているんだ」
「それじゃぁ、あの人たちがとりつかれてしまうんじゃないですか?」
「それは大丈夫。彼らはひよりさんのお兄さんの願いによってここまで導いて来られただけだから。とりつかれやすいのはむしろ……」
そう言った瞬間、トラックの目の前に黒いモヤが現れてあたしは小さく悲鳴を上げた。
それを合図にしたようにモヤはトラックを取り囲むように更に3体現れ、グルグルとその周囲を回り始めたのだ。
それはまるであたしたちを狙っているように見えて、背中から寒気が這い上がってくるのがわかった。
「どうなってるんですか!?」
あたしは思わず野田さんの腕を掴んで高い声でそう言った。
「君のように無関係な人間がこの場にいることが、一番危険なんだ」
「だったらなんで呼んだんですか!!」
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