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「主にあんな感じになる。あの程度からまだお祓いもできる範囲内だ」
「あれ以上の事になるってことですか?」
「そうだ。悪魔や悪霊が心の体も完全にのっとってしまえば、自分のコントロールは完全にきかなくなる。悪魔や悪霊が誰かを殺してやれと考えれば、とりつかれた人間は殺人犯にもなってしまう」
そう言い終えて、野田さんはハンガーをロッカーにかけた。
これからあの衣装はどんどん増えていくのだろうか?
できるならやめてほしいと思うけれど、鏡に映るいつもと違う自分は少しだけドキドキする。
「そして最終的には本人も死んでしまう……」
「そういう事だ。まぁ、俺と一緒にいればその心配はとほんどない」
自信満々にそう言った野田さんに、あたしは疑いの目を向けた。
「なんだよ、その信用していなさそうな目は」
「だって、あたしが幽霊や悪霊を見るのは野田さんと一緒にいるからですもん。普段はあたし何も見たりしませんよ?」
そう言うと、野田さんは少し唇を尖らせた。
自分のせいだということはちゃんと自覚しているらしい。
「マオリちゃんに聞けんが及ばないように、ちゃんとこれを持っている」
そう言って野田さんはスーツのポケットからお守りを取り出した。
それ見慣れている神社のものとは違い、石を削って作られているものだった。
「珍しいお守りですね?」
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