第二話

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「先祖から伝わっている石のお守りなんだ。これを持っていれば悪い霊を追い払う事ができると言われている」 「ご先祖からですか?」 あたしは野田さんの手の中にあるクリーム色に近い、丸い石を見つめた。 石に小さな穴を開けてそこにヒモが通されている。 勾玉のような見た目のお守りだ。 「あぁ。俺の家は先祖代々霊感を持って生まれているんだ。幼いころには修行が足りないため、沢山の悪霊に狙われたりもした。そんな時に助けてくれるお守りとして、ずっと引き継いでいるんだ」 野田さんはそう言い、お守りをポケットへと戻した。 「へぇ。霊感体質って遺伝するんですね」 「マオリちゃんは妙な所に関心するんだな。まぁいい。これは今日の給料だ」 そう言うと、いつの間に用意したのか野田さんはポケットから白い封筒を取り出してあたしに渡してきた。 「今回はあたし、本当になにもしてないから受け取れませんよ」 あたしはそう言い、封筒を野田さんへ突き返した。 前回のお給料は返せなくなってしまったから、今回は最初から受け取らない方法で行こうとしたのだ。 しかし……。 「今日のマオリちゃんの仕事はこれからが本番だ」 そう言われ、あたしは「へ?」と、まぬけな声を出して野田さんを見た。
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