第二話

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「マオリちゃんにはこれから朝まで失恋した俺を慰めてもらう。マオリちゃんを呼んだのは、そのためだ」 「は……?」 あたしは目を見開いて野田さんを見た。 失恋した野田さんを慰めるって、いったいどうやって? そう思っているあたしの手に封筒を握らせて野田さんはあたしを立ち上がらせた。 「さ、行こう」 「え? ちょっと、待ってくださいよ」 グイグイ引っ張られて焦るあたし。 モテない野田さんを慰めるなんて、もしかしてホテル……!? 「だ、だめです野田さん! あたし未成年だし!」 「何言ってる。高校生から大丈夫だ」 「何を基準にそんな事を言ってるんですか!」 抵抗するあたしを引きずるようにしてトラックへ向かう野田さん。 「さぁ、乗って」 「あ、あたしまだ未経験なんです!!」 トラックに乗せられる寸前で、あたしは大きな声でそう言っていた。 周囲にあたしの声が響き渡り、野田さんの腕の力が緩む。
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