第三話

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なんだかんだで野田さんのリサイクルショップでのアルバイトを続けていた日の、お昼休み。 あたしたち仲良し5人組は机をくっつけてお弁当を食べていた。 昨日見たドラマがどうとか、この前のサッカーの試合がどうとか、他愛のない会話をしている中、みんなが時折京馬の様子を伺っているのがわかった。 京馬の彼女である愛由がいなくなってから、もうすぐ3か月半になる。 今のところ有力情報は得られていないらしい。 愛由の家は両親が厳しく、双子の姉といつも比較されていたことから家出の可能性が強まっていると、風の噂できた程度だ。 もし本当に家出だとしても、恋人の京馬に何も伝えずに出て行ってしまうというのが、京馬にとっては一番ショックな事だろう。 愛由はなにかあれば京馬に相談するような子だったけれど、京馬にもあたしたちにも言えないような悩みを抱えていたのかもしれない。 「京馬が結構歌がうまかったのには驚いたなぁ」 黙ってい京馬へ向けて、秀悟がそう言った。 この前みんなでカラオケへ行った時の事を思い出して、あたしは思わず笑ってしまった。 京馬の歌声は確かにとても上手だったけれど、それを秀悟が横から邪魔をしてまともに歌えなくなっていたのだ。
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