第三話

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「そういえばさぁ」 会話が途切れたところで、あたしは口を開いた。 「なに?」 お弁当を食べきった茜がこちらへ視線を向ける。 「みんなは、幽霊とか信じる?」 「……は?」 突然の言葉に秀悟がまぬけな顔をしてあたしを見た。 口からはポロッとウインナーの端が落ちて行った。 「汚いなぁ秀悟は」 横に座っていた麻葉がティッシュを秀悟に渡してしかめっ面をした。 「あたしは信じない。だって、実際にいたら怖いじゃん」 麻葉がそう言った。 「茜は?」 「どうだろうなぁ……。UFOや火星人よりは信じてるかも」 眉間に眉を寄せて難しそうな顔をしてそう答える茜。 死んだ人の魂という点で言えば、UFOなんかよりずっとリアリティがあるみたいだ。 「俺も茜と一緒だな。テレビで紹介される心霊写真とか、作り物だろって思いながらも、真剣に見ちゃうよな」 心霊現象を面白おかしく取り上げているテレビ番組はいくらでもある。 だけど、それらがすべて事実なら関係者が無事でいられるとは思えない。 だから、テレビ番組の中の作品はすべて偽物だ。
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