第三話

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京馬の話に泣きそうになっているみんなとは違い、しっかりと京馬を見つめている。 「茜……」 「京馬が信じて待っててあげなくてどうするの?」 茜の怒ったような口調に京馬は少し目を見開き、そして「そうだよな……」と、小さく呟いた。 「そうだよ。みんなだって、諦めたりしてないでしょう? 愛由は必ず戻って来る。だって、あたしたちの仲間だもん」 強くそう言う茜に、あたしは自分の胸の奥が熱くなるのを感じていた。 愛由は必ず戻って来る。 あたしはいつも愛由が座っていた京馬の左隣へ目をやった。 そこには今誰もいない。 だけど、そこに座って幸せそうに笑っていた愛由の姿は簡単に思い出す事が出来た。 「あたしも、愛由が戻って来るって信じてる」 あたしは誰もいない空間へ向けて、そう呟いたのだった。
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