第三話

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☆☆☆ 商店街についた時、空はすでにオレンジ色になりはじめていた。 「野田さん!」 従業員入口へまわるのももどかしく、あたしは勢いよくお店のドアを開けた。 瞬間、ムワッとした悪臭が鼻をついてあたしは顔をしかめた。 店内を見回すとあたし綺麗にしていた場所へ更なるゴミが置かれているのがわかった。 「また集めて来たな……」 あたしは呆れてそう言った。 店内は一応冷房が効いているというのに、この悪臭はひどい。 あたしはドアを開け放ち、売り物である扇風機をかけて悪臭を外へと逃がした。 「マオリちゃん、来てたのか」 物音に気が付いた野田さんが事務所から顔をのぞかせる。 無精ひげが生えていて、その見た目は死神から浮浪者になりつつある。 「野田さん、この悪臭は一体なんなんですか?」 「ん? あぁ~昨日拾って来たゴミの中に生ごみでも混ざってたかなぁ?」 野田さんは首を傾げてそう言う。 野田さんののんきさに呆れながら、あたしは大量のゴミを見つめた。 このまま放置しておいたら悪臭は更に強くなり、周囲のお店にも迷惑をかけてしまうだろう。 つまり、ほっとけない。 と言う事だった。
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