第三話

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最近少しずつ雑貨好きな若いお客さんが入り始めたのに、これじゃまた振出しに戻ってしまう。 「仕方ないですね。あたしが片づけます」 ため息と同時にあたしあそう言った。 「え、ほんとに!?」 野田さんは目を輝かせて嬉しそうな声を上げる。 「わかってたくせに……」 あたしはボソッと呟き、掃除道具が置いてある事務所へと入った。 その瞬間、目を見開いた。 事務所の中にも大量のゴミが持ち運ばれていて、足の踏み場がないのだ。 「野田さん、これは一体……?」 「あぁ。今事務所では売れるものと捨てるものの分別をしていたんだ」 野田さんは少し自慢げにそう言った。 自分でも分別くらいできるんだぞ! と、遠まわしに言っているらしい。 しかしあたしの怒りは頂点に達した。 「これほどのゴミを集めてきて一体どうするつもりですか!? せっかくお客さんが来てくれるようになってたのに、こんな事をするから振り出しに戻るんですよ!!」
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