40人が本棚に入れています
本棚に追加
☆☆☆
それから一時間後。
あたしと野田さんは無言のままお店の掃除をしていた。
野田さんの言う通り、中には生ごみが入れられたナイロン袋まで転がっていて、あたしはそれをしかめっ面で片づけた。
しかし、片づけている内にどんどんそんなゴミが出てきて、あたしは首を傾げた。
野田さんはゴミの中から商品になりそうなものを拾ってくる。
明らかな生ごみが店内にあったことなんて、今まで一度もない。
あたしは手を止めて、事務所の中にいる野田さんを見た。
少しでも匂いを取るため、今はドアというドアすべてが開け放たれているため、野田さんの姿はよく見えた。
野田さんは生ゴミをひっくり返しては首を傾げている。
「野田さん、何を探してるんですか?」
気になってそう聞いてみると、野田さんは怯えたように眉を下げてあたしを見た。
さっき怒られた事をまだ気にしているようだ。
本当に子供みたいな人だ。
「もう怒っていませんから、教えてください」
そう言うと、野田さんはようやく緊張を解いて「犬を探してるんだ」と、言った。
「犬……?」
最初のコメントを投稿しよう!