第三話

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「マオリちゃん、君は俺の事をなんだと思ってるんだ」 「モテない死神ですよ」 自分の体に異変がない事を確認してあたしはテーブルから下りた。 ズボンをはいてきていてよかった。 スカートだったらパンツを見られていたかもしれない。 「俺への扱いが日に日に雑になってるよな……」 ブツブツと文句を言いだした野田さんの足元にはさっきの犬がいて、あたしは思わず後ずさりをした。 「その犬っ……!」 「ん? あぁ。見つけてくれたありがとう。探してた犬だよ」 「そうじゃなくて、その犬って死んでますよね!?」 「あぁ。腐敗が随分進んでるしな」 「なんで、動いてるんですか!?」 その姿はまるでゾンビのようだ。 噛まれたら感染して自分もゾンビになってしまうんじゃないかと、不安になる。 「魂が抜け切れてないからだな」 「それってゾンビですか!?」 「ただの腐敗の進んだ犬だ。ゾンビは感染症の病気という設定が多いが、この犬はただ腐っても生きているだけ」
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