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「犬はどこまでも人間に忠実な生き物なんだ。ひどい目にあっても、死んだあと生ゴミと一緒に捨てられても、こうして自分からなついてくるんだからな」
野田さんの言葉にあたしの胸はジンッと熱くなり、涙で目の前が少し滲んだ。
あたしはその涙を押し込めて「その飼い主、許せないですね」と、言った。
「あぁ……。でも、今回の依頼は元の飼い主と同じ墓に入れてやることだ。虐待した人間に罰を下すことはできない」
野田さんは悔しそうにそう言った。
あたしも同じ気持ちだった。
どうせなら虐待した方の飼い主に会いに行き、自分がどれほど愚かな事をしたのかを知らしめてやりたい所だ。
でも、依頼がなければそれもできない。
勝手な行動をすれば、こちらが犯罪者になってしまう可能性もある。
「さて、そろそろ行こうか」
野田さんがそう言い、犬を連れて外へ向かう。
「お墓へ行くんですか?」
「あぁ」
「あたしも行きます!」
あたしはそう言い、自分からトラックに乗り込んだ。
野田さんの仕事でこれほど自分から積極的になったのは、今が初めてかもしれなかった。
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