第三話

23/51
前へ
/250ページ
次へ
☆☆☆ 犬の騒動があったせいで今日野田さんに会いに来た理由をすっかり忘れる所だった。 あたしはお店に戻るまでの間に、死んだ人が夢に出てくる意味を聞いてみた。 「夢枕ってやつだな。ほとんどが夢を見ている本人が日頃から意識していたり、気にしていたりするから、死んだ人間が現れているんだ」 「やっぱり、そうですよね」 あたしもそうだと思っていた。 京馬が愛由の事を深く深く考えているから、夢を見るのだと。 「だけど、そうじゃない時もある」 「え?」 「本当に死んだ人間が出てきて、メッセージを伝える事もある」 「それってどうやって見極めるんですか?」 「夢から目が覚めた時は、『夢だった』とわかるだろう? だけど、実際に死んだ人間が来た場合の多くは、夢と現実の境界線が薄くなる。目を覚ましてもそれが夢だったのか現実だったのかがわからないんだ」 「へぇ……」 あたしは曖昧に返事をした。 実際に経験した事がないから、よくわからない。 でも、京馬の話を聞く限り、ちゃんと『夢』だと認識している様子だった。
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加