第三話

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☆☆☆ 翌日。 あたしはいつも通り学校へ登校して来ていた。 昨日の犬の姿を思い出すと気持ちが重たくなったが、試験が近いし、それだけで休むわけにもいかない。 「おはようマオリ。なんか今日顔色悪くない?」 先に来ていた茜にそう言われ、あたしは自分の頬に手を当てた。 「そうかな? 少し気分は悪いんだけど、それほどじゃないよ?」 「無理しちゃダメだよ? 最近夏風邪が流行ってるっていうし」 そう言い、茜はあたしの頭に手を置いた。 子供をあやすようにそのままグリグリと撫でられる。 「ちょっと疲れてるのかなぁ?」 馴れない、しかも普通じゃないアルバイトをしているため、精神的にもいつもと違う気がする。 「マオリは頑張りすぎる時があるから、息抜きしなきゃ。ね、今日の放課後遊んで帰ろうよ」 「そうだなぁ……」 確かに、最近友達と一緒に遊んでいない気がする。 愛由の件があってから、なんとなくみんなと集まって騒ぐのが悪い気がして京馬を励ます会を開いた時くらいしか遊んでいないかもしれない。
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