第三話

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「みんなに聞いてほしい事があって……」 そう言う京馬はすごくつらそうな顔をしている。 「なに?」 そう聞くと、何かを思い出したように京馬は目に涙を浮かべた。 「愛由が……」 その言葉にドキッとする。 みんなの表情が険しくなったのも、雰囲気でわかった。 「愛由がまた夢に出てきて……」 喉を詰まらせながら、京馬は言葉を続ける。 みんな、なにも言わなかった。 一生懸命に話す京馬の言葉に耳をすませる。 「愛由が……助けてって……いうんだ……」 京馬の頬に涙が流れて落ちた、 声はかすれて、静かにしていないと聞き取れないほどだ。 「いつも、夢に出てくる愛由はいつもの愛由だった。でも昨日の愛由は……血まみれで……すごく苦しそうでっ……!」 言いながら、次から次へと京馬の涙が机に落ちた。
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