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とめどなく溢れる涙を止める事もできず、鼻をすする音が聞こえてくる。
隣を見ると、茜もその目に涙を浮かべていた。
「夢か現実か……目が覚めた後でもわからなくてっ……! あれは、現実だったんじゃないかって、ずっと思ってて……!」
「京馬!」
あたしは思わず京馬の震える手を握りしめていた。
夢か現実かわからない夢枕。
見まみれの愛由。
きっとそれは……現実だ。
愛由はすでにどこかで死んでいる。
助けてと伝えるということは、誰かの手によって殺されたのかもしれない。
「大丈夫だから。ね? 安心して、保健室へ行こう?」
あたしは泣きそうになるのをグッと我慢して、無理やり笑顔を作った。
頬が小刻みに震えて、今にも泣き顔になってしまいそうだ。
愛由のためにも、京馬、あなただけは元気でいて……。
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