第1章

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「さぁ、食事にしよう。こっちへおいで」 野田さんに手招きをされて、あたしはスタッフルームと思われる奥の部屋へと進んで行った。 その部屋は6畳ほどで、入って右手に背丈ほどのロッカーが5つ壁に沿って置かれている。 中央には会社で使われているような灰色の机が4つ繋げて置かれていて、その周りには食卓用の木製の椅子が4つ置かれていた。 まるでこの部屋全体がリサイクル品でツギハギされているような感じだ。 野田さんは一番奥のロッカーを開けて車の鍵と黒い革の財布を取り出し、ポケットにねじ込んだ。 「このお店、他に2人従業員さんがいるんですか?」 あたしは机の数と椅子の数に注目してそう聞いた。 「いや、俺とマオリちゃんだけだよ」 野田さんは躊躇せすにそう答えた。 いや、あたしはまだバイトするとは言ってないんだけど……。 「ほら、こっち」 野田さんはあたしを手招きして部屋の奥にある戸を開けた。 その向こうは店の裏へと続いていて、小さな駐車場に白いトラックが一台止まっていた。 その車の側面には《リサイクルショップ》と小さなステッカーが貼ってあり、一応仕事用の車なのだということがわかった。 トラックということは、これにゴミを積んで店に運んでいるのだろう。
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