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☆☆☆
愛由を返しに来た?
その意味が全く理解できなくて、あたしはただぼんやりと野田さんを見ていた。
「京馬君が見たのは、夢枕じゃない」
「え? だって、さっき夢枕だって野田さん言ったじゃないですか」
「あぁ。普通の人間からすればそうだろうと思ってね」
「じゃぁ、京馬が見た愛由の姿は一体なんだったんですか?」
「愛由ちゃん自身だよ」
躊躇なくそう言い切った野田さんに、あたしは言葉を失った。
愛由自身って、一体どういう事なんだろう?
頭の中の混乱は増すばかりだ。
「魂が体から抜けなかった犬がいたように、魂が体から抜けない人間も、まれにいる」
あたしは腐敗が始まっていた小型犬を思い出していた。
「まさか……」
自分の顔がサッと青ざめるのがわかった。
座っているのにめまいを感じて、思わず額に手を当てる。
「その、まさかだよ。愛由ちゃんは死んだ後も魂が離れず、自分の足で歩いて京馬君の所まで行ったんだ」
「そ……んな……」
口の中はカラカラに乾き、心臓はわしづかみにされているように苦しかった。
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