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☆☆☆
トラックから下りると、愛由は少し悲しそうな顔をあたしへ向けた。
「愛由……」
あたしはなんと声をかけていいかもわからず、変わり果てた愛由を見つめる事しかできなかった。
「どうして……マオリがここにいるの?」
愛由が小さな声でそう言ってきた。
その声もしわがれていたが、愛由のものだとちゃんとわかる事ができた。
生前の愛由と変わらない部分がある事にホッと胸をなでおろし、同時に悲しくもなった。
目の前にいるのが間違いなく友達なんだと、再確認させられたからだ。
「あたし……野田さんのリサイクルショップでバイトをしてるの」
「そうなんだ……」
愛由は少しだけ口角をあげてそう言った。
微笑んだように見えるのは、気のせいだろうか?
「できれば、みんなにもマオリのように普通の生活を続けていてほしい」
その言葉に、あたしは一瞬にして京馬の顔を思い出していた。
愛由はきっと、京馬の事を考えて言っているのだろう。
「みんな……心配してるよ」
どう声をかけていいかわからず、あたしはそう言った。
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