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愛由の事を忘れた日なんて1日だってない。
普通の生活を続けながらも、心の中には愛由の笑顔がいつだって存在していた。
「ありがとう……」
愛由は今度はしっかりと微笑んだ。
その笑顔はいつもの愛由そのもので、あたしもつられて微笑んでいた。
血を洗い流し、ケガを直せばすぐにでも学校へ復帰できるんじゃないか。
そんな錯覚さえ起こる。
目の前に立っている愛由がすでに死んでいるなんて、思えなかった。
「そろそろ行こう」
野田さんがあたしたちにそう声をかけて来た。
「でも……」
このまま愛由が犯人と会うと言う事は、愛由が目的を果たすと言う事だ。
あたしはお墓でおじいさんと一緒に消えて行った犬を思い出していた。
愛由も目的を達成すればきっと消えてしまうんだろう。
「このままこの世にいても、体が腐敗して行くだけだから」
あたしの気持ちを察してそう言ったのは愛由本人だった。
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