第三話

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☆☆☆ アパートの一階はすべて駐車場になっているため、1階の部屋でも階段を上がる必要があった。 階段は所々ひび割れていて、歩くたびに崩れ落ちてしまうんじゃないかと不安になった。 愛由は右の足首から下を切断されているため、体をあたしに預けるようにして歩いている。 腐り始めた肉の匂いがツンッと鼻の奥を刺激するけれど、愛由の匂いだと思うと我慢することができた。 「足、痛くない?」 ゆっくりと階段をのぼりながら、あたしは思わずそう聞いていた。 「切られた時は、痛かったよ。あたし、まだ生きてたから。でも死んでからは全然痛くないから大丈夫」 「そっか……」 愛由の返事にあたしは一瞬顔をしかめた。 生きたまま足首から下を切断されたという事実に、胸の奥から吐き気がこみあげて来た。 男は愛由の足首から下だけを切断した。 つまりそれは、生きたまま逃げだせないようにしていた。 ということじゃないだろうか。
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