40人が本棚に入れています
本棚に追加
このキャラクターを独り占めしたいがために、愛由を殺した……!!
その身勝手な行動は到底許せるものではなかった。
「どうしてあたしを殺したの」
愛由が男に詰め寄る。
男は顔を真っ青にしてその場に腰を抜かして座りこんだ。
「だって……君がいつまでも他の男の名前を呼ぶから……!!」
男は目に涙をためてそう言った。
「ぼ、僕がどれほど君の為に尽くしても、君は……きょうま、きょうまって!!」
愛由を責めるように男は叫ぶ。
愛由がここに拘束され、必死で助けを呼ぶ姿が想像できてあたしはキュッと目を閉じた。
胸の奥が破裂するほどに苦しい。
愛由はどれだけ京馬の名前を呼び、どれだけ必死でここから逃げようとしていたのか。
「大丈夫か?」
野田さんに背中をさすられ、あたしは大きく息を吸いこんだ。
そして、目を開ける。
愛由は男の首に手をかけていて、今にも力を込めそうだ。
「頼む……助けてくれ……」
男の涙が愛由の手に落ちて行く。
人を殺しておいて自分は助けてくれなんて、都合の良い言葉だ。
最初のコメントを投稿しよう!