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あたしは殺されそうになっている男を見ても、何も感じなかった。
こんな男は死んで当然だと、心の中で思っている自分がいる。
ここまで自分が冷酷な人間になれるのだと、産まれて初めて知って、同時に恐怖を感じた。
殺したいほど人を憎むと言う事が、自分の身にも起こると思っていなかったからだ。
愛由は手の力を緩めもせず、加えもせず、ジリジリと男に恐怖心を与えていた。
男は小刻みに震えたまま愛由から視線をそらすこともできないでいる。
「ちょっと、調べてみよう」
そんな状況の中、野田さんが一言そう言って唯一の収納である押入れに手をかけた。
「そこはっ……!」
野田さんが動いた瞬間、男が反応を示した。
ここになにかがある。
という決定的な証拠だ。
野田さんが男の声を無視して押入れを開いた……その瞬間、女性物の服が雪崩を起こしてあふれ出て来た。
どれもこれもどこかで見た事のあるような服ばかりで、あたしは一瞬唖然とする。
そして気が付いた。
そのどれもがこの部屋のポスターのまりりんがきている衣装なのだ。
しかも、大小様々なサイズが用意されている。
「女の子たちを誘拐してきては、ここで着せ替え人形にしていたようだな」
野田さんが呆れたようにそう言った。
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